飲食業は個人が経営する店舗も含めると、国内で最も起業と廃業の多い業種のひとつだと言えます。「食」は生活をするうえでは欠かせなく、また社会的な構造としても数多くの雇用を生み出し、社会的にも切って離すことができない産業となっています。
一方で、労働生産人口の減少に伴い、飲食業においては人手不足が際立っており、外国人をアルバイトで採用する企業も増えているものの、人材の長時間労働化は顕著な問題となっています。また、店舗ごとに対する管理監督の不行きにより、パワハラやセクハラも起こりやすい環境だと言われています。
また、飲食業特有の問題として「日本マクドナルド事件(東京地判平成20年1月28日)」にみる、「管理監督者」に関する問題があります。労基法41条2号は、「監督若しくは管理の地位にある者(管理監督者)には、労基法の労働時間・休憩・休日の規制が適用しない」としており、飲食店では、店長が管理監督者に当たるとして、店長を無制限な長時間労働に従事させたり、残業代を支払わないということが広く行われていました。
しかし、この「店長と管理監督者」の問題を有名にした同事件では、アルバイト従業員(クルー)の採用、時給額、勤務シフト等の決定を含む労務管理や店舗管理を行い、自己の勤務スケジュールも決定している店長も、営業時間、商品の種類と価格、仕入先などについて本社の方針に従う必要があり、企業全体の経営方針へも関与していないとして、「管理監督者」とは認められないと判断されました。
そのため、ファーストフード店やファミリーレストラン、居酒屋やカラオケ店をはじめとしたさまざまな飲食店の店長について、管理監督者性が認められることは非常にハードルが高いといえ、店長を現に管理監督者として扱い残業代を支払っていない企業は注意するとともに、現在の体制を見直す必要があると言えます。
当事務所では、飲食業の皆さまが健全に事業活動を営むことができるよう、労務問題に関するサービスの提供を行っております。労働時間管理、ハラスメント研修、就業規則の作成・改訂など、飲食業における労務問題の相談は弁護士にご相談ください。
2006年弁護士登録以来、企業法務、事業再生・債務整理、税務関係、交通事故、消費者事件、知的財産権関係、家事事件(相続・離婚その他)、
その他一般民事、刑事事件、少年事件に取り組む。講演実績は多数あり、地域経済を安定させる、地域社会をより良くしていくことに繋がる。
こう確信して、一つ一つの案件に取り組んでいます。
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