EAPとは?
従業員支援プログラム(Employee Assistance Program)とは、弁護士が、企業の従業員の皆様を直接に支援することを通じて、その企業の持続的な成長・発展に寄与することを目的としたサービスです。
これは米国で発祥し、世界的に普及しているプログラムです。米国では、従業員の個人的な問題や、仕事に関連した問題がパフォーマンスに影響することを防ぎ、解決するために外部専門家などに相談ができるプログラムとして導入され、普及しているようです(米国のEAP概要)。
当事務所による従業員支援プログラム(EAP)は、企業が従業員に対する福利厚生などとして導入するものとして位置づけています。そこで、例えば、導入企業の従業員・役員であれば、職場外のプライベートな悩みについて、無料(ないし一般的な料金よりも低額)で弁護士の法務カウンセリングを受けられるようになります。職場でのトラブルなどの悩みについては、利益相反の関係上、除外することとしています。
このプログラムを導入することのメリットは、従業員が、プライベートで抱えるストレスの原因、例えば、家族・夫婦の問題、事故、金銭トラブル、犯罪関係、資産に係る問題、消費者被害など、様々な仕事上のパフォーマンスに影響を与えうる個人的問題について、直接、弁護士に相談して、解決する、あるいは解決の糸口を発見することができることにあります。
なお、問題への対処としては、単に相談するだけで解決した、という事案も珍しくありません。従業員の個人的な問題を無料で解決することも可能なプログラム、それがEAPです。
従業員のための顧問契約という位置づけへ
従来、弁護士が企業の顧問をしているからといって、その従業員が直接に顧問弁護士に対して個人的な相談を行うということに企業も従業員自身も積極的とはいえない状況が続いてきました。それは、顧問弁護士はあくまで企業の法務を担当する弁護士であるという顧問契約の目的に照らす限りは当然のことでしょうが、企業経営者でも従業員と近い関係を築いている方の場合には、顧問弁護士に相談をするように勧めることも良くありました。
EAPとは、このような顧問弁護士の積極的な活用を弁護士側から更に推し進めるための試みです。
攻めの法務で人財定着を図る企業に
企業法務を担当する弁護士にとって、従業員との関係は、対企業で労働問題等を持ち掛けた場合に対処するという意味では、利害が対立し、受け身の対応、ということが基本となっていました。しかし、このEAPの導入により、企業が頼んだ弁護士は、労働問題を除いて、各従業員の利益にも配慮する立場になります。これは企業にとっては攻めの法務ということが言えます。
職場環境や従業員の働きやすさを変えようという企業にとって、その姿勢を表明する上でも重要なアクションの一つだと考えます。
このアクションがもたらす効果は多岐に渡ります。
人財の定着、メンタルヘルスの維持、それを背景とした労働生産性の向上といった効果があり、業績に対するプラスの影響が想定されます。
信頼できる弁護士に相談するために
昨今、国内の弁護士数は急増し、かつてより遥かに敷居が低くなっているのは事実ですが、それでも企業経営者が感じている以上に従業員にとって弁護士にリーチすることは困難を伴います。アクセスする手段には、WEB、法テラス、弁護士会など事欠きませんが、自分が相談した弁護士の評判は耳に入ってきません。
その点、従業員自らが勤務する企業・職場の代表が信頼する弁護士であれば、最初から、信頼されるに足る能力・経験があることや、その企業の文化を知っていることなど、信頼できる基盤があるということが言えます。安心して相談できる相手になれるはずです。
企業経営者の従業員に対する責任を果たすため
ただでさえ多忙な企業経営者にとって、従業員のプライベートに関する問題にまで責任を持ってアドバイスしている時間はありません。かといって、従業員が心身ともに健康で仕事に打ち込めるように配慮する責任を放棄するわけにはいきません。そのため、企業経営者にとって必要なのは、従業員のプライベートな問題について、それが法的な問題であれば、専門家に対応を任せ、自らは職場における従業員の指導・指揮監督に集中する体制を作ることが重要です。
EAP導入のためのステップ
このプログラムの導入時において、弁護士はできる限り職場の従業員全員に自分の顔を知ってもらい、直接このプログラムについて説明をします。弁護士としてどういった経験を積んだのか、どういう対応ができるか、といった説明を行うことで、従業員にどのような場面で相談すればよいかを理解してもらいます。
特に本江法律事務所では、導入のための説明に際して、特に当事務所が力を入れていることとして、税務的なアドバイスもできること、カウンセラーの資格を取得して、相談者のメンタルへの配慮を欠かさないこと、相続問題や交通事故など、経験が豊富であること、などを伝えて参ります。加えて、法律問題かどうかは二の次で、とにかくどのような問題なのかを整理するために来ていただいてもいい、ということを伝えています。
これからの「人」を中心とした経営において、EAPの重要性を理解して、導入を検討することをお勧めします。
2006年弁護士登録以来、企業法務、事業再生・債務整理、税務関係、交通事故、消費者事件、知的財産権関係、家事事件(相続・離婚その他)、
その他一般民事、刑事事件、少年事件に取り組む。講演実績は多数あり、地域経済を安定させる、地域社会をより良くしていくことに繋がる。
こう確信して、一つ一つの案件に取り組んでいます。
※日本全国からのご相談に対応しております。