交通事故で傷害を負った被害者の方は、後遺障害の「等級」という言葉を聞いたことがある方もいると思います。ここでは後遺障害の等級とは何なのか、5分で理解できるよう解説します。
まず、怪我を負った被害者の方は、当然ですが、病院で治療を受けることになります。治療を続けた結果、元の健康な身体に戻れば言うことはありません。重大な傷害で完治しなかった時に後遺障害の問題が出てきます。
タイミングとしては、被害者がこれ以上の治療を続けても、ほとんど身体的な機能の回復といった治療の効果がないと思われる状態で、どんな障害が残ったかを考えることになります。この段階を「症状固定」と言います。そして、その時点で残っている症状、身体的な機能不全のことを「後遺障害」と呼びます。
どんな後遺障害が残っているか、まずは主治医の先生に診断してもらうことになります。後遺障害診断用の診断書を書いてもらい、必要な検査等を受けて、検査結果と合わせて、自賠責保険の調査事務所に提出します。
後遺障害があるかどうか、あったとして、どの程度のものかを、この診断書などを踏まえて、自賠責保険に判断してもらうということになります。自賠責保険の手続として後遺障害の認定を受けることで、加害者側の保険会社にも、それを踏まえた保険金の支払いに応じてもらうことができます。
ここで残存する障害の程度に応じて、自賠責保険は、後遺障害に1級から14級までの等級を認めます。14級に満たない障害しか残存していない場合には、後遺障害には該当しないという認定になります。
この等級が非常に重要になります。なぜなら、後遺障害に対する損害賠償の金額が、等級によって全く違ってくるからです。
後遺障害に対する損害賠償の項目は、主に「慰謝料」と「逸失利益」です。
「慰謝料」は、等級によって金額がダイレクトに決まります。
「逸失利益」は、被害者の基礎収入に残存する稼働可能年齢までの年数と「労働能力喪失率」を掛け合わせて算定します。この「労働能力喪失率」という係数は、後遺障害の等級によって決まります。
後遺障害の等級は、このように後遺障害に関する賠償金額に大きく関わってくることから、適切に認定してもらわなければ、非常に不満足な金額になることがあります。
しかし、自賠責による後遺障害の等級認定の基準は、基本的に公表されていません。AさんとBさんが、同じような事故にあい、同じように痛みが残っている、としても、後遺障害の等級には差が生じることが頻繁にあります。
良くあるのは、むち打ち症の事案です。同じように治療を続けたけれども首の痛みが残っていると訴えるAさんとBさんがいたとして、Aさんには12級の後遺障害が認められ、Bさんは後遺障害に該当しない、という判断を受けることは、珍しくありません。
なぜ、どういう事情でそのようになるのか、というのは一概に言えません。
ただ、後遺障害の種類によって様々なポイントがあることは確かです。自賠責の調査事務所は、ケースによっては治療の初期にどのような訴えがあったか、ということまで確認しています。
例えば、被害者が無理をして通院を控えたり、担当医に大げさに「よくなりました」と言ってしまったり、レントゲン、CT、MRIなどの画像を全く取らないといった対応は、後遺障害の等級を適切に認定してもらいたいのであれば、まずい対応です。
重大な傷害を被った被害者が、必ず後遺障害を認められるわけではありません。しかし、治療の初期から、医師だけでなく、経験のある弁護士にも症状を伝えながら通院してもらうことが大事です。
後遺障害の等級認定の場面で、ある程度の予測がついたり、不利な判断を受けない可能性が高くなります。
但し、弁護士は、自賠責の等級に不満がある場合には、裁判を提起して適切な等級に見合った賠償金の請求を行うこともできます。裁判所が、自賠責の等級と同じ判断をする可能性もそれなりに高いですが、裁判を通じて納得感を得られる場合もあります。
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2006年弁護士登録以来、企業法務、事業再生・債務整理、税務関係、交通事故、消費者事件、知的財産権関係、家事事件(相続・離婚その他)、
その他一般民事、刑事事件、少年事件に取り組む。講演実績は多数あり、地域経済を安定させる、地域社会をより良くしていくことに繋がる。
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