ご家族が亡くなられた場合、その方の遺言があり、民法上の効力が認められるのであれば、遺言に沿って相続財産を分けることになります。ただ、遺言がない場合や、遺言に書かれていない相続財産がある場合には、相続人間でその相続財産を分けるための協議をすることが必要です。これを「遺産分割協議」と言います。
遺産分割協議で困るケースは大きく2つ
相続財産を分ける段階で困っているというご相談は、大きく分けて2パターンあります。
自分が相続財産を引き継いでいて、他の相続人から相続財産を分けるよう請求されているが、そもそも渡したくない、又は請求されたとおりには渡したくない
他の相続人が相続財産を引き継いでいるため、相続財産を分けるように求めたが、渡すものはないと言われている、又は少額しか渡さない、と言われている
また、別のパターンとして、主な相続財産が不動産の場合など、相続分のとおりに分けるのが難しい、という場合もあります。家を相続したときに必要な手続と相続登記の方法については、こちら
遺産の原則的な分割の仕方
分け方について協議する前提として、相続財産の基本的な分け方として、各相続人には、法定相続分に従って相続財産を分けてもらう権利があるということを全員が把握しておく必要があります。
例えば、妻と子どもが2人いるという方が亡くなられた場合、妻には1/2、子どもには1/4ずつの法定相続分というものが発生します。相続財産が金銭であれば、その割合に従って簡単に分けられますが、不動産やモノの場合、次のような分け方になります。
A)誰かが引き継いで、お金で清算するという方法
B)売却してお金に換えて分ける方法、
C)相続分の割合で共有にする方法、
D)現実に不動産なら分筆する、モノを分離して分けるという方法
が考えられます。
お互いの希望を出し合ったときに多いのは、A)やB)です。もっとも、売却することには、タイミングの問題や税金の問題を伴なうため、最終的にはA)の方法で分けることが多いです。
特別受益や寄与分
ただ、特に相続前に亡くなった方を支えていた方などは、なぜ自分が多めにもらえないのか、と疑問を抱くのも当然と言えます。これは、寄与分という考え方で、実際にもらえる金額を調整します。
また、他の相続人が、亡くなった方から生前に多額の贈与や援助を受けていたことを知っていれば、そのことは分け方に反映するべきだと思って当然です。こちらは特別受益という考え方です。
そういった当然の言い分も、他の相続人との協議では、きちんと評価してもらうために「説得的に」伝えていくことが重要です。相手を説得できなかった場合、そういった言い分を引っ込めるか、それとも家庭裁判所で調停・審判という手続に進むか、ということを考えることになります。
裁判所では、自分の言い分を裏付ける資料があるかどうか、という観点から、調停や審判が行われることになります。
弁護士に頼むことのメリットとは
弁護士は、遺産分割協議の時点から、代理人を務めたり、相談を受けたりすることで、将来的に調停や審判でどんな展開になるかを想定し、協議でどのような主張をしていくべきか、戦略的に考えることができます。
早めに相談することで、解決のための柔軟な選択肢が提示できたり、人間関係が悪化しないように協議を進めたりすることができるようになります。代理人として依頼をするつもりがなくても結構です。相続の分け方で困ったときは、是非、当事務所にご相談下さい。
2006年弁護士登録以来、企業法務、事業再生・債務整理、税務関係、交通事故、消費者事件、知的財産権関係、家事事件(相続・離婚その他)、
その他一般民事、刑事事件、少年事件に取り組む。講演実績は多数あり、地域経済を安定させる、地域社会をより良くしていくことに繋がる。
こう確信して、一つ一つの案件に取り組んでいます。
※日本全国からのご相談に対応しております。